【戦術レポート】バルセロナ vs レアル・マドリード|クラシコ、リーガ
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試合概要
リーガエスパニョーラの第26節。
勝ち点60で首位を走るバルセロナと、
前半戦は絶不調だったものの、後半戦で巻き返してきた3位・レアル・マドリードです。
今シーズン最後のクラシコでもあります。
今シーズンのクラシコの結果は、
リーガの第一戦は、バルサのホーム・カンプノウで5-1でバルサが勝利、
コパ・デルレイでは、第一戦がバルサのホームで1-1、第二戦がレアルのホームで3-0でバルサが勝利しています。
リーグ戦の順位を見ても、今シーズンは完全にバルセロナのシーズンですが、
レアルとしてはホームで迎えるクラシコだけでもなんとかいい結果を残しておきたい一戦です。
レアル・マドリードの起点
レアル・マドリードは、トップ下のモドリッチが下がってきてボールを受けて、
クロース、モドリッチがハーフラインを少し超えたあたりの低い位置で起点となって、
両サイドのWGとSBのところからせめて、センタリングを入れる形を中心に攻めていこうという流れ。
そのため、バイタルエリアはほとんど使わず、
ベンゼマが下がってきて受ける形でバイタルエリアを使うことはあっても、
モドリッチやクロースが積極的に入ってくるような形ではせめて行きません。
このクロースとモドリッチの起点に対して、バルセロナのラキティッチとアルトゥールが簡単に出て行ってしまうと、
隣のカゼミーロやSBなどに預けて、ワンツーで簡単に前に運ばれてしまうので、そこに無理にプレッシャーを与えることはできません。
逆に言えば、ここに無理にプレッシャーを与えなければ、その次のパスの出所はFW3人とSB2人の5人でしかないので、
そこで狙っていこうというのがレアル相手に多くの相手が取る守備の狙いになります。
バルセロナの起点
一方のバルセロナは、代名詞である細かいパスでバイタルエリアをどんどん狙っていきます。
そのバルセロナの起点は、何と言ってもメッシになります。
もちろん、メッシにボールを入れるまでに、
ビルドアップして、中盤3人である程度ボールを運んで、相手を押し下げるという作業はありますが、
レアルもビルドアップの際にそれほど積極的にボールを取りに行くことはないので、ビルドアップまでは問題なく進み、レアルも、すぐに自陣に下がります。
レアルが自陣に下がってゾーンを敷くと、メッシが下がってきてボールを受ける形で起点になります。
メッシがボールを受けて、中にドリブルインしていくとカゼミーロと対峙する形になりますが、
ここでカゼミーロが簡単にタックルを仕掛けると、ブスケツやスアレスにボールを入れるか、
そもそものドリブルでかわせれるかして簡単にバイタルエリアに侵入を許すことになるので、
カゼミーロも簡単に寄せて、ボールをはたかせるしかない形になります。
メッシをフリーにする仕組み
バルセロナとしてはメッシに如何にしてフリーにするか、
一方のレアルは、如何にしてモドリッチをフリーにするか、
が自分たちのペースをつかむ上で重要になります。
中に絞って低い位置の右WGにメッシは位置している訳ですが、
この位置だと、レギロン、カゼミーロ、セルヒオ・ラモスがボールを潰しにかかる形になります。
そのため、ラキティッチがカゼミーロ、スアレスがセルヒオ・ラモスにつかれるようなポジションになり、レギロンがメッシに喰いつくと、セルジ・ロベルトがオーバーラップを仕掛ける構図になります。
特に、スアレスがヴァランにつかれて、セルヒオ・ラモスがマークを持っていない状態になると、レギロンがメッシにつられても、セルヒオ・ラモスがカバーできてしまうので、
メッシはフリーになれないことになります。
バルセロナの先制点
この試合を決めたラキティッチのゴールは、バルサのややカウンター気味の流れからでした。
中盤でボールを奪ったバルサは、ハーフラインあたりでメッシがボールを受けて、
クロースがラキティッチのマークまで戻れていない状態で、カゼミーロがメッシにチェックをかけてしまいました。
その結果、メッシからラキティッチにボールが渡った際に、セルヒオ・ラモスが出てきてしまい、
セルジ・ロベルトとのワンツーでセルヒオ・ラモスの背後をついて、キーパーとの一対一を作る形になりました。
セルヒオラモスが出てきたことでカゼミーロはその背後をカバーする動きは見せるものの、
ラキティッチが飛び出した時にカバーリングに入れる状態で待機していなかったのが、
中途半端な対応になってしまう原因になっていますし、
それなら、カゼミーロがラキティッチまでチェックしに行って、ラモスが出てこない形で対応できていたらよかったのかなとも思えます。
後半のメッシの位置
後半になると、メッシがより中央に位置する機会が増えます。
メッシが中央に入ると、スアレスとメッシがそれぞれヴァランとラモスにつかれる形になり、
セルジ・ロベルトがレギロン、デンベレがカルバハルと最終ラインにぴったり人数が揃うことになります。
メッシがバイタルエリアに位置するようになると、そこに入ったタイミングでクロースとカゼミーロはメッシを挟みにいけるようにしなければいけないので、
ラキティッチとブスケツがよりスペースを得ることができるようになります。
バルサは前半で先制できたことで、余裕を持って試合を運べる側に回ったので、
ブスケツとラキティッチ、またはCB2人でゆっくりボールを支配する時間を増やしていこうという狙いでしょう。
心なしか、後半は切迫した試合というより前半よりも穏やかな試合運びになっていたと思います。